古森重隆の格言・名言
リーダーにとって一番大事な使命は、そのときにやらねばならぬことを、絶対にやり抜くことだ。「我々は敵の大軍に囲まれ、補給路を断たれてしまった。いまこれをやらなければ生き延びることはできない」ということをきちんと伝えれば、社員たちは必ず分かってくれる。
各現場で改革の第一線に立つ社員たちの士気や使命感を高めていくには、トップからの情報発信が必要だ。私は年に4回発行される社内報の巻頭言に加え、主要な工場や研究所を回って行う年度方針発表会や新年のスピーチなどで必ず、当グループが置かれている現状や、我々はどこに向かっていくのか、そのために何をし、なかでも絶対にやらなければならないことは何かということを、くり返し話している。
経営の構造改革が単なる規模の縮小であってはならない。今後の成長戦略とセットでなければ意味がない。
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危機を前に、改革や投資を小出しにする経営者は少なくない。なぜ戦力の逐次投入が愚策と分かっているのに、思い切った勝負に二の足を踏むのか。私は「マッスルインテリジェンス」が欠けているからだと思う。マッスルインテリジェンスとは私の解釈で、ある種の野性的な賢さや勘、力、気迫を指す。この力は勉強だけで身に付けられるものではない。海で泳いだり、山に登ったり、ケンカをしたり、いろんなことを体験したり、本を読んで他人の体験を学んだりというように、実際の行動や活動を通じて、子供の頃からの積み重ねで身に付けられるものだ。経営者には頭のよさだけでなく、勝機に果断に判断し、かつ行動できる野生的な強さが必要だ。
戦力の逐次投入は戦略、戦術の禁じ手であり経営でもタブーである。問題を放置して改革を先送りすれば、会社は確実に蝕まれていく。戦いに勝つためには、必要であれば、適切なタイミングで思い切ってやる以外にないだろう。
意思決定には常にデッドラインがあり、ライバルの動向を含め情勢も刻一刻と変化している。その中で、経営者が完全な情報で判断できる機会はまずない。それを恐れて、意思決定を先送りするくらいであれば、どちらを選んでも成功の確率に大差ないと腹を決めて、いずれかの方向に足を踏み出す方がいい。
決断の過程ではデッドラインのギリギリまで考え抜いても結論が出ないこともしばしばあった。腹を決め、可能な限りの情報を集め、最後の最後まで考え抜く――。それでも、はっきりとした優位性が見えない時が現実にあった。そんなとき私は「いずれを選択しても正しいのかもしれない」と考えることにしている。
リーダーが決断を間違えると、組織は壊滅的な打撃を被る。ゆえに私は100の決断をしたらそのすべてを間違えないという覚悟で日々の決断を下してきた。
100メートルを11秒台で走れる潜在能力があるにもかかわらず、いつも力を余して13秒台でしか走っていない人は、ここは11秒台で走らないと勝てないという大勝負に、足がすくんでしまう。そういう人は使いものにならないのだ。
一生のうちに何度かは、120%の力を発揮しなければならない局面が誰にも必ず訪れる。そのとき、一度でも限界まで働いたことがあれば、自分はここまでできると自信を持って立ち向かうことができるはずだ。
私は意識してものごとを前向きに考えるようになってから人生が変わった。前向き思考は誰でも訓練で身につけられるので、ぜひやってみてほしい。
私は若いときから終始一貫、会社のために何ができるか、会社にとって一番いいことは何かを考えて仕事に取り組んできた。自分のためより会社のためのほうが、ハードルははるかに高い、だからこそ、やらなければならないという使命感が生まれ、それが仕事に迫力をもたらすのだ。
戦いこそが社会の基本原理であるなどといえば、日本では眉をひそめられがちだが、こんなことは海外では常識だ。
ビジネスというのは、言葉を換えれば、世界中のライバルと市場を取りあう「戦い」だ。だから、絶対に勝ってやる、負けてたまるかという気迫や闘志が不可欠だ。ノウハウだけでは戦いには勝てない。
この国はいつの間にか「歩」だらけになった。だが、ほかの駒も必要だ。「桂」「香」「金」「銀」「飛」「角」、最高は「王」。これらの人材が必要である。出る杭を打たず、リーダー足り得る人材や挑戦心の強い、創造的なとがった人材を育てなければない。
優先順位の設定は決断に不可欠と言える。どのくらいのスピード感や規模感で断行するか、それは優先順位を決めなければ判断できない。
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